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2021年4月16日 (金)

トリチュウムの海水への排出

 福島原発からトリチュウムを含む汚染水を海に排出することが問題となり、さまざまな意見が出されている。右翼桜井よし子氏は、「年間のトリチウムの海洋放出量が韓国が136兆ベクレル、中国が42兆ベクレルに対し、日本は最大22兆ベクレルとなるデータを示した」上で韓国と中国を批判している。そこで正確なデータで確認してみた(以下のデータで約は省略)。
 産経新聞が、経済産業省のデータによると、2016年に韓国では液体で17兆ベクレル、気体で119兆ベクレルを海洋と大気中に放出したとしている。ここから桜井氏の引用がいつものように我田引水であることが露顕する。またそれは脱原発を打ち出した文政権以前のもので、現在のデータではない。ちなみに、東日本大震災により全国の原発が停止する以前に、日本で海洋に放出されていたトリチュウムは事故前5年間の平均で年380兆ベクレルである(出典 JNES「原子力施設管理年報」)。JNESとは2003年設立の独立行政法人原子力安全基盤機構で、2014年に原子力規制庁に統合された。
 個々の原発のデータをみると、原発のタイプで大きな差があるようで、停止するまでの11年(2002~2012)の合計で1位佐賀・玄海826、2位福井・高浜574.8、3位愛媛・伊方569.8、4位鹿児島・川内413(単位はテラ[兆]ベクレル)がダントツに多い。いずれもPWR(加圧水型)であり、BWR(沸騰水型)の福島原発は12.08(第一)と10.17(第二)で、島根原発は4.30である。ちなみに韓国は16基いずれもPWR型(中国も)である。
 以前から海水に排出しており問題ないとの意見も出てくるかもしれないが、前提条件をみておく必要がある。今回は廃炉にむけて30年間かけて薄めて排出するとするが、30年で廃炉が終わる可能性はゼロである。廃炉作業の中では大量の核汚染物質が出てきて、その処理も問題となる。海洋への排出によって減少する量よりはるかに多量であるが、その点については言及されていない。またその内にトリチュウムを多量に排出していたPWR型原発の使用期限がきて、こちらの廃炉も始まってくるので、福島だけの問題ではない。薄めて排出することの問題点も、過去の公害対策で問題ありとされてきた。薄めても排出量には変わりが無く、核物質のように半減期の長いものについては、1年単位ではなく100年、1000年単位で考えなければならない(1000年たつと2011年並の大震災が発生する。ただしトリチュウムそのものは半減期12年と短い。)。当方もついさきほど調べて認識したものであり、天に唾をはかないうちに、筆をおく。
 付記BWR 原子炉としては単純な構造であるが、炉心で核燃料に接触した水の蒸気を直接タービンに導くことから、タービンや復水器、蒸気配管などが放射能汚染され、耐用年数終了時に発生する放射性廃棄物が加圧水型原子炉 (PWR) より多くなり廃炉コストが嵩む可能性が高い。また、その汚染のため作業員の被曝量が加圧水型原子炉よりも多い(安斎育郎 『放射線と放射能』)。

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