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2011年8月28日 (日)

左一郎の棋譜と棋書

 荒木氏所蔵本には『活碁新評』が2種類3冊、『常用妙手』が1冊あるが、『囲碁定石集』上下2冊は含まれない。『新評』は出版された上下2冊本とともに、写本の1冊本があった。写本の表紙には「桂花園蔵」と記される。巻末には「嘉永元年九月 岸本左一郎直樹しるす」とした上で、朱筆で左一郎による後書きと篠崎小竹の序文は省略したことを記す。また、2巻本では碁罫紙に問題を記した裏に解答・解説が文章で述べられるが、写本では碁罫紙に手順を記し、碁罫紙の上部に解説を記している。
 『常用妙手』については、以前、三原市立図書館で「桑堂所持」と表紙に記した写本をみたが、今回は印刷本である。関係する表記がないので出版本ではないが、前半に問題を碁罫紙に記し、後半には碁罫紙とその上の覧に番号と解説が記されている。 最初は同じ内容の本が2冊綴られていると思ったが、そうではなかった。写本と同様左一郎の序文が記されている。
 棋書としては左一郎の弟子岩田秀一郎の編集になる『囲棋常用手談』がある。『常用妙手』との比較はしていないが、80題の手筋の問題を収録している。問題と解説文のみで岩田による序文はないが、巻末には明治十五年十月二十九日と三十日の2日間で掘九郎兵衛が写したことが記されている。
  棋譜集としては「秀策天保録、左一郎嘉永録」がある。前者は左一郎が2度目の上京をしていた天保14年から15年にかけての秀策の棋譜で、左一郎相手の棋譜も含まれる。後者は左一郎3度目の上京中の嘉永5年から7年の棋譜で、秀和、秀策、伊藤松和、坂口仙得、鶴岡三郎助、大田雄蔵との対局分が収録されている。左一郎によるまとめられた棋譜集であろう。あと一冊「囲棋十一局」と題する、左一郎の嘉永6~7年の棋譜集がある。伊藤松和、秀策、秀和、佐瀬秀石、小沢金太郎、鈴木善之助、村瀬弥吉との対局分が収録されており、一部は前の棋譜集と重なる。碁罫紙はつかわず、手順のみ文字で記している。「群雄技蹟」を加えれば3冊となる。

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