koewokiku(HPへ)

« 岸本左一郎(8) | トップページ | 岩田右一郎(2) »

2009年6月13日 (土)

岸本左一郎(9)

 橘堂は極めて誠実であった。父が早くに没したのを悲しみ、誓いてその志をなさんと欲し、以て限りなき恩に報ゆ。死に至りて少しも衰えず、其の母を養うや好むところ必ず致す。未だ嘗て有無を以て言う事を為さざるなし。兄に禮ありて人と争わず。其の徒弟を導くに厚くして、法著活棋新評・常用妙手・定石精評三部有り、以て其の方を指示す。其の貧にして資なき者或いは資を給い、以て之を成す。故に其の門入品者多し。終身娶らず、蓋し亦其の妨げを恐れ、志與に養うなり。既に之が没して2年、高足弟子雲州岩田秀苗其の早没を悼む。志を遂げる能わざる也。偏にその徒と謀り、其の師子秀和に請う、七段を贈らしめんことを。又二年、碑を建て、以て其の事の朽ちず。来て乞う、予に文を。予、因って感ずる有る焉。蓋し凡そ百伎芸取法を兎域に於いて率いる能わず。軼(すぎ)而上之獨り圍棋に至り彼数等を出て徴すの棋譜知るべし矣。豈に皇人の性、獨り圍棋に於いて巧みならん哉。蓋し官設の禄位以て国手を待つ。苟も其の人に非らざれば子弟と雖も其の禄を襲うを得ず。蓋し其の技進む有りて必ずこれを得、秩退有り。資養之楽是を以て専ら之を精求し余力を遺さざる宜し矣。其の技の日進未だ已まざるなり。予既に其の師弟の篤厚を嘉みて、非学我僧者奕者に如かざる者也。是に於いて乎記す。
                                     安井衡撰
 元治元年甲子晩春            従六位下紀廣繁 書

以上については、別の読み方があるかこもしれないが、左一郎の人柄についても述べている。

« 岸本左一郎(8) | トップページ | 岩田右一郎(2) »

囲碁史」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 岸本左一郎(9):

« 岸本左一郎(8) | トップページ | 岩田右一郎(2) »

2021年6月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
無料ブログはココログ