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2008年10月22日 (水)

岸本左一郎(5)

 秀策囲碁記念館にも展示されていた「常用妙手」の序文を記す。

古今珍陟(ママ)多けれども大方は奇形にして常用の妙手にあらず。されば上手の幣となりて下手の得益は甚だ少し。これによりて初心の益あらん事を記せんと思ひ、或ハ古き碁経より形勢を撰出し、又ハ打碁の能出る善手を記して、偏ニ初輩上達の為となす。あハれ願ハ実学ニ入て不用の奇を好まず。此経によりて石の生死を知らば自今盤面、明なるべし。
   安政二卯年九月 岸本左一郎

一般の人が囲碁を学ぶための書物を作るために、左一郎が工夫をしたことが述べられているのは、「活碁新評」のあとがきに通ずる。問題はそれが、後世の評価に耐えられるかである。「活碁新評」は戦後に長谷川章氏(後の日本棋院理事長)により「棋道」で連載・紹介され、本にまとめられた。以下はその序文である。

これまで一般の書物にみられる“手筋集”などは、どちらかといえば、実戦とは直接関係なしに造られたものが多い。そのため折角その手筋なり形なりを覚えても、仲々実戦には役立たないという憾みがあった。この講座では、もと棋道に永く掲載された“活碁新評”を収録したものである(中略)。
 岸本左一郎七段が“活碁新評”を著したのは嘉永元年で、世情騒がしく人心もまた穏やかでない時代のことであった。したがって、棋界も漸く衰退の気配をみせ、棋士の生活もまた苦の一途をたどったのである。その間にあって、原著の如き名著を生んだ事実はまさに驚嘆に価し、岸本七段の碁に対する造詣の深さを推察できるのである。

実際に藤沢秀行「基本手筋事典」(上)には「活碁新評」からの引用が明記されたものが多い。

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